昨年、「民藝」という言葉が生まれて100年を迎えました。
近年ではテレビで特集が組まれたり、全国各地でさまざまな催しが開かれたりと、あらためて民藝に触れる機会が増えているように感じます。
そのような中、先週末10月17日〜19日の3日間、長崎で「民藝夏期学校」が開催されました。
全国各地の民藝協会の方々がホストとなり、今回で167回目を迎える夏期学校。長崎での開催は1977年から数えて6回目になるそうです。
今回のテーマは、「今に生きる民藝〜平和・日々の生活」。

1・2日目は活水女子大学、3日目は長崎県美術館を会場に、全国から民藝に関わる方々をはじめ、ものづくりや暮らしに関心を持つ多くの方々が集まりました。
私たちHAG環境デザインも、2日目の朝、「長崎のまちと建築」というテーマで講演の機会をいただきました。
長崎のまちの成り立ちを辿りながら、長崎ならではの「和華蘭文化」が生まれた背景、HAGで改修に携わった東古川町の町家、そして会場となった活水女子大学を設計したヴォーリズの建築についてお話ししました。
講演の後は活水女子大学の大チャペルと小チャペルをご案内しました。



夏期学校のプログラムには、田川俊さんによる「民藝と長崎版画」のお話をはじめ、「工藝的なるもの」「民藝をめぐって」といった講義や対談、シンポジウムなどが開催されました。
それぞれ異なる立場や視点から、先人たちより受け継いできた民藝やその背景の考え方、工芸やデザイン、そして日々の暮らしへと話が広がっていき、とても内容の濃い時間でした。
そして驚いたことのひとつが、毎日配られる新聞形式の「速報」です。
講演やその日の出来事、会場の様子がすぐにまとめられ、翌日には参加者の手元へ。それもカラーで!!
そうした心遣いは、お昼ごはんやおやつにも。(写真を撮り忘れてました。残念)
一つひとつに長崎らしさが込められていて、食を通しても、この土地の文化や暮らしを感じることができました。講演や展示だけでなく、こうした何気ない場面にも、長崎を楽しんでもらおうというおもてなしの気持ちが表れていたように思います。
長崎県美術館のアトリエでは、長崎の民藝協会の皆さんがこれまで続けてこられた活動とともに、民藝協会の方々の作品、そして、長年長崎の民藝協会を牽引してきた庄司さんのコレクションが展示されました。
長い年月の中で集められ、受け継がれてきたものが並ぶ濃厚な展示で、一つひとつじっくりと眺めたくなるものばかりです。






またホールでは、川瀬美香監督のお話とともに、長崎の被爆体験を伝えていくことをテーマとした映画『長崎の郵便配達』が上映されました。

「今に生きる民藝〜平和・日々の生活」という今回のテーマのもと、民藝を礎としながら、工藝やデザインにとどまらず、長崎の歴史や文化、そして日常の暮らしについて、さまざまな角度から考える3日間だったのではないかと思います。
今回の夏期学校は、私たち自身にとっても、長崎で建築をすることについてあらためて考える機会となりました。
そして何より心に残ったのは、会全体から感じられた、日々の暮らしを楽しみ慈しむ眼差しと、おもてなしの心です。
全国から長崎へお越しくださった皆さま、そしてこのような機会をいただいた民藝協会、実行委員の皆さま、本当にありがとうございました。