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森と木と香りと。ライフスタイルブランド「六月八日」森を想う暮らし。

先日、大分県中津市にある久恒山林(株)が運営するライフスタイルブランド「六月八日(ロクガツヨウカ」の事務所を訪ねました。
その事務所は、築100年を超える木造住宅の一角にあり、国指定の有形文化財にもなっています。

古い建物ですが、造形の美しさと木材の経年変化が、より一層深みを感じさせます。細部まで丁寧につくられた建築で、特に縁側のコーナーにある3枚引き戸の連窓を開け放つと、室内と外の境界がなくなり、まるで自然と一体になるような開放感。木の温もりや先人の知恵が息づいた、美しく見応えのある空間でした。

「六月八日」のエッシェンシャルオイルは、自社の森で無農薬で育てられた木々から、丁寧に抽出されています。
実はこのブランド、エッシェンシャルオイルだけでなく林業にも深く関わっており、今回、社長自ら森を案内してくださいました。

林業は、長い時間をかけて営まれる仕事です。しかし、日本の国産木材が適正な価格で流通していないため、継承の危機にあるといいます。そのような中、持続可能な林業の形態を模索し、本来なら森に放置される間伐材を活用する取り組みをされています。

森の管理についても、間伐の仕方で環境が大きく変わることを現地の実状を見ながら説明をしていただきました。間伐が1回だけの森は、木々の間隔が狭く、細く高く伸びた杉ばかり。下層植生は育たず、杉以外の生命の気配がないため、台風が来ると根ごと倒れてしまいます。
一方で、4回間伐した森は、木々の間隔が広く、太陽の光が地面まで届いていました。下層植生や雑木が育ち、微生物の多くいる土壌や小動物の気配も感じられる、生き生きとした環境が広がっていました。

間伐1回。木々が密接していて光が入らないくらい森。
4回間伐した森。低層植物や雑木が生え、生命力のある土壌が育まれています。

森は川を生み、やがて海へと流れます。海水は蒸発して雲となり、再び雨となって森を潤す。この循環の中で、多様な生き物が息づき、私たちもその恩恵を受け生かされているのです。

HAGではこれまでにも森の木を切り出して家(大村焼杉の家)を建てたり、製材屋から直接地域の木材を購入し活用することを行なってきました。今後も山を育てるイメージを持ちながら私たちにできることを考えていきたいと改めて思わせられました。

娘であり3代目のまゆさんがワークショップのためのクロモジを採っています。

HAGのお隣の「List:」さんでは、蒸留水のワークショップが開催されました。
見慣れた室内に、まるで実験室のような器具が並び、クロモジの蒸留水を抽出。部屋中に心地よい香りが広がります。

さらに、中津の森で採れた10種類のエッシェンシャルオイルから、自分が今求める香りをブレンドしてリフレッシュウォーターを作る体験も。自分だけの特別な香りが完成しました。

ブランド名の「六月八日」は、一年のうちで森が最も生命力にあふれる時期にちなんでいるそうです。
4月・5月は乾燥した日が続きますが、6月に入ると森が潤い、緑が一層美しくなるのだとか。その瑞々しい森の空気を感じられるような物を届けたい、という想いが込められています。

今回はとても深い学びの時となりました。
「六月八日」の久恒社長、まゆさん、そしてこの旅を誘ってくれた「List:」の松井さん、ありがとうございました。

「List:」さんでの展示販売は月曜日まで。
お近くの方は、ぜひ足を運んでみてください。

6月8日HP
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